martedì 13 maggio 2014

ナスタジオ・デッリ・オネスティ- Nastagio degli Onesti - 第四部


デカメロン(1349-1351)よりナスタジオ・デッリ・オネスティ
ジョバンニ ボッカッチョ (1313- 1375) 作


ボッカッチョは“Volgare*” と呼ばれた1300年代のイタリア語でデカメロンを書き上げました。ここでは、イタリア語中級レベルのみなさん向けに現代イタリア語で要約したデカメロンの中の物語のひとつ、ナスタジオ・デッリ・オネスティを掲載します。
*Volgareは、当時ラテン語に対しての俗語という位置づけでした。

ナスタジオ・デッリ・オネスティ- 第四部 (イタリア語へ)

     追記:1483年にフィレンツェの画家サンドロ・ボッティチェッリは、ナスタジオ・デッリ・オネスティの物語を題材にした4枚の板絵(tavolette*)をメディチ家のロレンツォ・イル・マニフィコ(フィレンツェの支配者であり、熱烈な芸術愛好家としても有名です。)の為に作成しました。この板絵は、ロレンツォ・イル・マニフィコが貴族のジャロッツォ・プッチとルクレッツィア・ビニの結婚の祝儀として用意されたものでした。
この作品について、ボッティチェッリは物語から4つのシーン選びデッサンし、そのデッサンを基に2人の弟子が4枚の板絵を作成したといわれています。:バルトロメオ・ディ・ジョバンニが最初の3枚を、そしてヤコポ・デル・セッライオが最後の1枚を作成したとされています。
現在それらの作品のほとんどはマドリッドのプラド美術館にあります。4枚のうちの1枚のみがフィレンツェのプッチ宮に所蔵されています。
*tavoletteは小さな木板に描かれた板絵の事です。

                                                                                              日本語訳 福島かほる

venerdì 9 maggio 2014

La strada per "Roma" - “ローマ”に続く道





日本語でも、あるいはイタリア語でも、言葉には多くの意味があります。例えば「太陽」「海」「泉」「広場」「道」などは、元々の意味だけでなく、何かを象徴するようにも使われていますよね。

『全ての道はローマに続く』という有名なことわざは、もちろん、みなさんご存知でしょう。この言葉はイタリアの文化に関わる故事に由来するもので、17世紀のフランスの詩人ジャン・デ・ラ・フォンテーヌが書いた作品に出て来ることで知られています。実際のところ、かのローマ帝国は、アッピア街道を始め、カッシア街道、フラミニア街道、ティブルティーナ街道など多くの道が作られ、各地とローマを結んでいました。ちなみに、イタリア語の辞書には、この言葉は「物事はひとつのものに集中する」という意味を持つ、とも記されています。

私はこの言葉がとても好きで、自分を支えてくれる大切な言葉として深く心に刻んでいます。というのも、この言葉を思い出すと、まるで開いた窓から新鮮な空気が入ってきた時のように心地良く感じ、勇気を与えられたような気持になるからです。
via Aurelia, foto da internet

先に『全ての道はローマに続く』という言葉は「物事はひとつのものに集中する」ということを意味する、とお伝えしましたが、この言葉にはもうひとつ意味があることはご存知でしょうか。私はそれまで全く知らなかったのですが、ある時、イタリア語の先生からそのことを教えられ、心が揺さぶられる思いでした。「ローマに続く道はたくさんある、だから、たとえ道に迷っても、途中で道を変えても、歩き疲れて立ち止まってしまったとしても、歩き続きさえすれば必ず目的地にたどり着くことができる。大事なのはあきらめてしまわないことだ」、先生はそう話してくださったのです。

この意味を知った時、実は私は、イタリア語を学ぶことに少し疲れていました。もともとはイタリア史やイタリア文化、そしてイタリア人のメンタリティといったものに興味をもち、単なる好奇心からイタリア語を学び始めたのですが、全ての文法を学び終わっても、語彙は乏しいままで、イタリア語を流暢に書いたり、話したりなどできるわけもなく・・、やりきれない思いを抱いていました。イタリア語は私には難し過ぎる、仕事に必要なわけでもないのに、イタリア語を学ぶことにどんな意味があるというのだろう・・。頭に浮かぶのはそんなことばかりで、何度も何度も、もうイタリア語はやめようと考えました。

アッピア街道(ローマ市内)
CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ
でも、まさにそんな時、『全ての道はローマに続く』という言葉の、もうひとつの意味を知ったのです。「あなたの心のなかの“ローマ”を目指して、ゆっくりでいいから歩き続けなさい。そうすれば、きっといつか、あなたが目指すところにたどりつける。」 先生はそんな言葉も言い添えて、私を励ましてくれました。この時から私はイタリア語をやめるなど一切考えなくなり・・、そして、なんともう十年以上の月日が経ちました。

これは私が決して忘れることの出来ない大切なエピソードです。私は今、同じようなことが「人生」にも言えるのではないか、と感じています。たとえ道に迷っても、途中で道を変えても、歩き疲れて道半ばで立ち止まってしまったとしても・・、そこで何かを感じたり、気付いたりすることはあるはず。そして、そんな経験を得て、また心に抱いた『ローマ』を目指して歩き始めることが、何より大切ではないでしょうか。だからこそ、ここにいらっしゃるみなさんに、改めてこの言葉を贈りたいと思います。  『すべての道はローマに続く』。

イタリア語へ


                                                                                                             一色映里